はじめに|AIへの「頼み方」が4世代に進化しています
- 生成AIの扱い方は「プロンプト→コンテキスト→ハーネス→ループ」の4段階で進化している
- 各手法の違いを、同じ2Dアクションゲームづくりを例に比べると一目でわかる
- 環境がそろっていなくても、まずはプロンプト・コンテキストから校務に取り入れられる
「生成AIを使うときは、とにかくプロンプト(指示文)が大事」——そう聞いて、毎回ていねいにお願い文を書いていませんか。
実は2026年6月現在、生成AIの扱い方は大きく進化しています。AIへの「頼み方」は、プロンプトエンジニアリングからコンテキストエンジニアリング、さらにハーネスエンジニアリング・ループエンジニアリングへと、いわば第4世代まで進んできました。

この記事では、4つの手法の違いを、同じ「2Dアクションゲームづくり」を題材にしながら、学校現場の例も交えてやさしく解説します。今の環境がすべてそろっていなくても、これからのAIとの付き合い方がきっと見えてくるはずです。
こんな人におすすめ
- 毎回プロンプトを書くのが大変で、AI活用を効率化したい先生
- 「コンテキスト」「ハーネス」「ループ」という言葉を最近よく聞く方
- 自分のレベルに合った、次のAIの使い方を知りたい方
生成AIの扱い方は4段階で進化している
まずは全体像をつかみましょう。生成AIへの指示の出し方は、大きく次の4段階で進化してきました。

- ①プロンプトエンジニアリング:毎回ていねいに「上手にお願い」する
- ②コンテキストエンジニアリング:あらかじめ前提条件を渡しておく
- ③ハーネスエンジニアリング:AIが働くための作業環境そのものを整える
- ④ループエンジニアリング:AIに確認・修正のサイクルを繰り返させる
下にいくほど、AIに任せられる範囲が広がり、人間の手間が減っていきます。それでは、ひとつずつ事例を見ていきましょう。
①プロンプトエンジニアリング|AIに上手に指示する

結論から言うと、プロンプトエンジニアリングは「AIにできるだけ具体的にお願いする」という、いちばん基本の手法です。
たとえば学校の先生が、運動会のお知らせを保護者向けに作りたいとします。このとき「運動会のお知らせを書いて」とだけ頼むと、AIの答えもぼんやりした抽象的な文章になりがちです。
そこで、次のように条件を細かく加えてみます。
プロンプト例
あなたは小学校の先生です。
保護者向けに、運動会のお知らせ文を作成してください。
・文字数は400字程度
・ていねいな敬語
・日時、場所、持ち物がひと目で分かるようにする
このように立場・読み手・文字数・形式を具体的に伝えるだけで、出てくる文章の質はぐっと上がります。これが、上手にAIを扱うために必要とされてきたプロンプトエンジニアリングです。
2Dゲームで試すとどうなる?
この記事では、4つの手法の違いをはっきりさせるために、同じ「2Dアクションゲームづくり」を共通の題材にして比べていきます。
プロンプトエンジニアリングでは、「どんなゲームか」「主人公の操作方法」「デザイン」などを1つの指示文に細かく書き込みます。今回はGeminiのキャンバス機能で生成してみました。
すると、「敵に当たるとゲームオーバー」「下に落ちるとゲームオーバー」など、指示どおりに動くゲームがきちんと出力されました。条件やクリア内容を具体的に伝えるほど、イメージに近い結果が得られるのが分かります。
②コンテキストエンジニアリング|前提条件を渡しておく

コンテキストエンジニアリングは、毎回くり返し書いていた条件を、あらかじめAIに覚えさせておく手法です。これにより、その回にやってほしいことだけを伝えれば済むようになります。
たとえば学級通信なら、「対象は何年生で何人か」「学校の方針」「自分がいつも書いている文章のトーン」といった前提を先に読み込ませておきます。あとは「今回の学級通信を書いて」と頼むだけで、いつもの雰囲気の文章が返ってきます。
身近な例では、GoogleのGem(ジェム)やNotebookLMがこの考え方にあたります。前提となる知識を先に埋め込んでおき、それをもとにやり取りする仕組みです。GemやNotebookLMの使い方は、Gemの使い方を解説したこちらの記事や、NotebookLMの活用ガイドでもくわしく紹介しています。
2Dゲームで試すとどうなる?
ゲームづくりでは、1枚のプロンプトにすべてをベタ書きするのではなく、役割ごとにファイルを分けて前提を用意します。「ゲームの仕様」「操作感」「ステージ設計」など、ファイルごとに役割を持たせておくイメージです。
実際に動かすと、画面がスクロールし、ステージや主人公キャラクターの設定が反映されたゲームができました。ただし作り込みの精度はまだ甘く、絶対にクリアできないステージが生成されることも。コンテキストエンジニアリングだけでは、まだ不十分な部分が残るわけです。
多くの人は今ここ
現在、多くのユーザーが使っているのが、このプロンプト〜コンテキストエンジニアリングの段階です。まずはこの2つを押さえるだけでも、校務の効率は大きく変わります。
③ハーネスエンジニアリング|AIの作業環境を整える

ハーネスエンジニアリングは、SNSでも話題になっている新しい考え方です。ひとことで言うと、AIが自分で働けるように「作業環境」そのものを人間が用意する手法です。
コンテキストエンジニアリングで前提を渡すところまでは同じですが、さらにエージェンティックシステム(自律的に動くAIエージェント)を複数走らせ、それぞれに役割を与えて作業させます。AIが「どう動くべきか」までを含めて、環境ごと設計するイメージです。
2Dゲームづくりでも、前提ファイルを用意するところは同じですが、最後に「ハーネスとして必ず実装すること」「開発の進め方」まで指示し、人間が作業環境を構築します。
その結果、ゲームのクオリティや主人公の動く速さがぐっとスムーズになり、ゲーム性が大きく向上しました。今度は最後までゴールにたどり着ける、しっかり遊べるゲームが完成。AI自身が、作ったプログラムを操作面までチェックしてくれるのが大きな違いです。
④ループエンジニアリング|AIにPDCAを回させる

最後のループエンジニアリングは、AI自身に「確認→修正→作り直し」のサイクルをくり返させる手法です。ハーネスエンジニアリングで作った1回分の流れを、何度もPDCAのように回していきます。
身近な例で言えば、テストの採点です。これまで先生が、採点ミスがないかを目視でもう一度確認していました。ループエンジニアリングでは、生成AIが採点画面を読み取り、ミスがないかをAI自身がチェックしてくれます。
2Dゲームの例では、2回目以降にAI自身がプロジェクトやファイルの中身を確認し、ログを取って分析。問題がないか、修正すべき点はないかを点検して、必要なら自分で直します。この作業をくり返すだけで、アウトプットの質がどんどん高まっていきます。
人間は最後に、仕上がりをさらっと確認するだけ。最終チェックだけ人が担うことで、信頼性の高い結果を効率よく得られます。
どこから始める?向いている場面・向いていない場面

まずはプロンプト・コンテキストから
ハーネスやループは強力ですが、いきなりエージェントを動かすのはハードルが高めです。テキストエディターなどの環境も必要になります。

- AI活用の第一歩:まずはプロンプトエンジニアリングで、具体的に指示する練習から
- 毎日の校務を時短したい:GemやNotebookLMを使ったコンテキストエンジニアリングが便利
- 開発や自動化に挑戦したい:環境が整ったら、ハーネス・ループにステップアップ
大事なのは「最終チェックは人間」
AIが進化しても、出力が必ず正しいとは限りません。どの手法でも、最後に人の目で確認することが信頼性の土台になります。AIに任せる範囲を少しずつ広げていきましょう。
まとめ|自分のレベルに合わせてAIと付き合おう

今回は、生成AIの扱い方が4段階に進化していることを、2Dアクションゲームづくりを例に紹介しました。
- プロンプト:毎回ていねいに、具体的にお願いする
- コンテキスト:前提条件を先に渡し、指示の手間を減らす
- ハーネス:AIが働く作業環境そのものを整える
- ループ:AIに確認・修正をくり返させ、質を高める
いきなりすべてを使いこなす必要はありません。まずはプロンプトとコンテキストから、ご自身の校務に取り入れてみてください。より上手なプロンプトの作り方や、Gem・NotebookLMとの連携も当チャンネルで紹介していますので、ぜひあわせて参考にしてみてください。
